★イラク侵攻軍は、キリスト教十字軍か
キリスト教伝道師のなかの伝道師ビリー・グレアムの息子フランクリンが率いる組織「サマリタンズ・パース」が、イラク戦後を目指して「救援活動」を準備していることについて、4
月 1 日の当サイトでも取り上げた。もうひとつ、アメリカ最大のプロテスタント会派で、南部において圧倒的な影響力を持つサザン・バプティスト会議も、イラクへのチーム派遣の計画を立てている。どちらも、ヨルダンとイラクの国境に待機しているようである。
「イスラムオンライン」が、フリーランスの翻訳者の談話として、彼らは、英語からアラビア語への翻訳作業のできる人材を探していると伝えている。それによると、キリスト教「救援」チームのターゲットは、イラクばかりでなく、サウジアラビアとクエートを含んでいる。インターネット上に広告を出して翻訳者を大量に確保するプランもある。
アラブ諸国では、イラク戦争は新たなキリスト教十字軍だという観測が行われているが、上記の事実は、この観測を裏づけるものとの見方もある。
もっとも、イスラムの宗教指導者の間では、この問題については意見が割れていて、「同盟軍」の侵攻を、主権国家に対する不正義という政治的見地からのみとらえる人々も多い。
グレアムらの主張するところでは、戦争に痛めつけられたイラク人に食物や住まいなどを提供することが第一だとしているが、もしチャンスがあればキリスト教信仰をイラク人と共有したいとも述べている。イラクの人口の
98 パーセントは、イスラムである。
3 月 25 日に、フランクリン・グレアムは、キリスト教系のビリーフ・ネットに対して、次のように語っている。「アラブの国に入ったからと言って、さっそく出かけていって説教をすることができないのはわかっている。作業をするうちに、神はその息子
(イエス・キリスト) について、他の人たちに話す機会をきっと与えてくれるだろうと信じている。我々がイラクに行くのは、彼らに愛と救いの手を差し伸べるためである。私は、クリスチャンとして、イエスの名において、これを行う」
彼はさらに、「コーランは暴力の教えであり、平和は教えていない」と、改めて断言している。9.11 から 2 カ月後に同様の発言をテレビでしたわけだし、昨年出版された本のなかでも、これを繰り返している。
ただし、グレアムは、自分の活動がキリスト教十字軍視されていることについては、頓着していないらしい。「我々は、アメリカ政府のために働いているのではない。だから、その許可を得る必要もない」という。サマリタンズ・パースの国際事業部長を務めるケン・アイザックスも、「必要に応じて、機会のあるところへ出かけていく。キリストの名に於いて、キリストの行為と言葉とを共にしようとするものである。我々は我々でありつづけるであろう」と、抽象的だが、強気なメッセージを繰り出している。
一方、イスラム教徒側の反発は大きく、アメリカ・イスラム関係評議会のスポークスマン、イブラヒム・フーパーの、次のような談話がある。「フランクリン・グレアムは、ブッシュ大統領の就任式で祈りを捧げた人物であり、イスラムは邪悪な信仰だと公言している。それに、侵略軍の後ろについてイラクに入り、人々をキリスト教に改宗させようとしているではないか。ここからなにか良い結果が生まれるわけがない」
サザン・バプティスト会議はどうか。
「人道的作業ばかりでなく、神の愛を共有するための大きな機会である。イラクの人々個人は我々を傷つけるようなことはなにもしていない。彼らが、イエス・キリストに名に於いて真の自由を獲得するようお手伝いをしたい」(同会議オクラホマ州災害救援部長、サム・ポーター)
「魂の問題については、人々に我々の信仰のことを尋ねられたら出てくるのは当然だろう。しかし、他の国でしているように、診療所の外で説教サービスをするようなことはないと思う」(同会議国際宣教部のスポークスマン、マーク・ケリー)
慎重な発言だが、サザン・バプティスト会議が、反イスラムであることはよく知られている。昨年、セントルイスで開かれた同会議の年次総会でも、最高幹部のひとりジェリー・ヴァインズ師が、アラーはキリストの神とはちがうものだとして、次のように演説している。「アラーはエホヴァ
(天地創造の神) ではない。エホヴァはテロリストをつくりはしない」
なお、ヘンリー・グレアムのサマリタンズ・パースも、サザン・バプティスト会議も、ともに、ブッシュ大統領の強力な支持基盤を構成している。
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[2003.4.4.]