★インターネット版

 ずいぶん以前のことになるけれど、青森へ出かけた折りに、居酒屋の戸を開けた途端、「ラッセーラー」の声に迎えられてびっくりしたことがある。もちろん、これはねぶた祭の掛け声である。声のするほうに目をやると、テレビのなかでは、たくさんの跳人(はねと)たちが、大通りを踊りまくっている。

 季節は真冬であった。「ねぶた」は真夏の祭りである。聞けば、この店では、ねぶた祭のビデオを一年中流しつづけているのだという。いつでもお祭り気分でいられるわけで、これほど幸せなことも少ないにちがいない。

 もっとも、いまだったらインターネットがある。祭り関連のサイトも数多い。それらを訪ねていけば、居ながらにして深川祭りを体感できるはずである。自分の部屋で、深夜に寝酒を一杯(お茶でも水でもいいけれど)やりながら、「ワッショイ」の興奮に浸るのも、おもしろいではないか。

 などと勝手なことを考えつつ、深川祭りがテーマのサイトを訪ねた。巡ってみてはじめて実感したが、深川に限らず、祭りのサイトを立ち上げて維持していくことが、いかに大変なことであるか。

 祭りをテーマにするからには、画像が豊富になければならない。祭りの現場を写真や映像で表現する必要がある。そのためには、デジカメ持参で現場を撮影してまわらねばならない。あるいは、テープレコーダーを抱えていって録音する必要もある。

 ところが、祭りのサイトを開こうと思いつくほどだから、運営する当人が根っからの祭り好きにちがいない。撮ったり録ったりしていると、神輿担ぎになど参加できない。逆に神輿の担ぎ手になったら撮影も録音もできない。さあ、どうするか。皆に伝えたいのはやまやまだけれど、自分で楽しまなくては、祭りじゃない。このジレンマに悩み苦しであろう。

 昔からのカメラ好きらしい、ある男性は、自分のサイトで、次のように告白している。

 「今年は、三年に一度の本祭り。打ち合わせやら、準備やらで大忙し。休日には、御輿担ぎの練習があります。みんな伝統を守る為に統一された、かけ声、足運びを練習しています。今年も写真を撮れそうに有りません。当分此処には最新の写真が掲載される事はなさそうです。写される側に廻ります。何故って、見るより担ぐ方が楽しい。私も生粋の深川っ子」

 祭りの当日になると自転車を飛ばして出かけていくという女性は、2002年の本祭りで深く反省することがあったという。ベスト・ショットを撮ろうと人垣を避けて、お台場まで行ってみた。たしかに人は少ない。ほとんどだれもいなかったのである。ありがたい御鳳輦を迎えたのは報道関係者と警備の警官ばかり。

 「避けすぎでした。お祭りはやっぱりたくさんの人で賑わっているほうがずっといい感じ」

 と思い返す。

 こうして葛藤もあり、反省もある。それらを乗り越えてつくりだされているにちがいない、心に残るサイトを挙げてみよう。それぞれに作り手の気持ちがこもっているから、楽しく、そして元気がでることまちがいない。

 インターネット上で、祭りをひとまわりしてから、いよいよ本番の「ワッショイ」へ出かけていくのも一興であろう。

 深川八幡祭りお勧めサイト 

2002年深川まつり
ページを開くと、いきなり、「ワッショイ、ワッショイ」と掛け声が吹き出してくる。前回の本祭りの写真を丁寧に撮っている。
LIB3 お祭りアーカイブ
ここでも、勇壮な掛け声が聞ける。
東京下町のお祭り
珍しくも、お台場を行く御鳳輦が見られる。
深川ねっと
平成11年から昨年まで、すべての年の祭りを撮っている。街並みの変化も見えてきておもしろい。陰祭りのひっそりした感じも、またいいものである。
Tommy's Photo Studio
流麗なピアノ曲の伴奏でスライドショーが繰り広げられる。しっとりした叙情。水掛けが、まるで、雨か雪のように思えてくる。江戸情緒とはまたちがう新感覚に、サイトならではの感がする。

[2005.8.8.]

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