過日、田上ナナ子さん(31歳)とパートナーの土居麦くん(33歳)は、休暇旅行でニューヨークとボストンへ出かけました。ふたりは、こんにゃく座という東京の劇団で、制作の仕事をしています。今回の旅では、ブロードウェイやオフブロードウェイの舞台をたくさん観ました。他にもいろいろ楽しいことがありました。10日後、ふたりとも元気いっぱいで東京に戻りました。帰ってからナナ子さんが、あっという間に過ぎてしまった日々を長めの日記に綴りました。その全文を掲載します。
WtF
Gallery『ニューヨーク+ボストン写真帖』を見ながらお読みください。⇒スライドショー
UA800
2006/05/25/
祖師ヶ谷大蔵→新宿→日暮里→成田第一ターミナルという経由で、成田空港へ向かう。
13:40成田空港着、空港内の中華料理屋さんで昼食を食べる。そして14:20チェックイン。今回はユナイテッド・エアラインズを使用。チェックイン時の預け荷物のチェックが厳しい。トランクをあけて、小分けにした荷物ひとつひとつをさわり、底が二重になっていないかどうかまで調べている。なおかつ、「立ち会いは一人と決められております」とのこと(帰国時のアメリカの空港での荷物チェックは、ほとんどないに等しい。ユナイテッドはもちろんアメリカ系列の会社で、アメリカに来る時は厳しく取り締まり、帰る時は別にどうでもいいよ、どうせ出て行くのだから、とあからさまに言っているようで、出国&帰国と考えあわせると不愉快だー)。
シーズンオフのため出国審査はとってもスムーズ。機内の座席は全部で43列ほどしかなく、座席配列は2-5-2。チェックインが早かったためか一番後ろのはじの2席だった。ぞくぞくと乗客が乗ってくるわけだけど、まわりは中国人の団体。最初香港の人たちかと思ったけれど、英語がまったく通じていないので大陸の人たちとわかる。これが声がでかい。隣の人と話をしているのに、5〜6メートル先の人としゃべるほどの大きさでしゃべる。先が思いやられる〜。今回の機体は、スクリーンが各座席毎に前の座席に備え付けられているタイプ。初めてのことで、映画放映時間を楽しみにしていたのに、つかない! いくらボタンを押してもつかいない! 麦が客室乗務員(アメリカ人)に聞くと、「なんかの不良でつかないのよ。なんでつかないかなんか私たちにはわかんないわ」と、けんもほろろ。がっくし。寝たり起きたりうとうとしたりを続けながら約13時間のフライトの後、NYへ到着。日本時間25日16:05に成田を飛び立ち到着はアメリカ東部時間(サマータイム)25日15:57。
9.11後、アメリカへの入国審査が厳しくなったと聞いていたけれど、ものものしさは特になく、逆にフランクすぎて、もう少しせっせと働いてくれよ〜、と思うくらいマイペースな係官たち。以前(9.11前)は、「入国の目的は?」「泊まるホテルは?」「何日滞在するの?」とかを聞かれ、パスポートをチェックされるだけだったけれど、今回は、質問は同じような内容で、プラス、両人差し指の指紋採取と顔写真の撮影をされる。指紋は、3センチ四方ほどの読み取り機のようなものに、力任せに人差し指を押しつける。写真は、メガネははずさせられて、小型のカメラで撮影される。ここで断ったって入国できないだけだろうから特に断ったりしないんだけど、不快。
空港からホテルまでの足は、タクシー、バス、シャトルバス、電車などいくつかの選択肢がある。一番安いのは電車、次にバス、シャトルバス、タクシーと続く。電車は疲れているし荷物もあるし却下。バスは安いけれど降車場所からホテルまで少し距離がある。で選んだのがシャトルバス。Super Shuttleという会社で、空港から各利用ホテルの前までdoor to doorでつけてくれる。空港のInformation counterでホテル名を言って申し込む。そうすると係の人が、ドライバーに電話し、「○○ホテルまでだけどー、どのくらいでピックアップできるの?」と聞いてくれる。その後予約表をくれて、ドライバーがピックアップしに来てくれるまで待っている。支払いは到着後ドライバーに。金額はホテルまでの距離で決まっているようだった。一応予約表に金額はいくら、とはっきり書いてあるのだけど、その下に、チップについてはおまかせします、みたいなことが書いてある。チップになれない日本人はこんなこと書かれたら絶対チップも払うだろうなぁと思う。私たちの他に、6組、計9人を満載してバンはマンハッタンへと向かう。ニューヨークの人たちは運転が荒い。というか、ニューヨークの車の大半を占めるであろう、タクシーとバスの運転手は。すぐクラクションを鳴らす。もうほとんど突っ込んでいく、「おらおらどけどけぇ〜」という感じだ。シャトルのドライバーも同じだった。
ホテルまでは、小一時間で到着。金額は$34+チップ$6でしめて$40。宿泊先は、HOTEL THIRTY THIRTY(30 East 30th Street, NY)。ニューヨークのホテル口コミサイトみたいなので見てみると、スタッフの愛想が悪い、部屋が狭い、とかあまりいいことは書いていなかったけれど、立地とオフィシャルサイトを見て決めた。実際フロントスタッフのRon君は愛想が悪い。チェックイン時も「Last name?」「Sign here.」くらいしかしゃべらない。ニコリともしない。いや、別にいいんだけどね。
ロビーはこぎれい。今風な感じで微妙なデザイナーホテルっていう感じ。部屋はまぁ狭い。でも別に不便はない。バスルームは逆に広い。別に便利でもないけれど。
とりあえずウォーミングアップがてら、18:30頃からホテル周辺をぶらぶら散歩にでかける。13時間のフライトで足がぱんぱん。歩くと痛い! でもホテルのある30th St.から17th St.にあるユニオン・スクエアまででかける。小一時間のお散歩であった。途中で飲み物とポテトチップスを買ってホテルへ戻る。
20:30には寝た。
Major League
2006/05/26/
朝9:30頃ホテルを出発。
今日はまず、Pennsylvania Stationで日本からインターネット予約してあった、Amtrakのチケットを発券しにいく。途中MANHATTAN MALLの地下のFOOD COURTで朝食。アメリカンなファストフードを食べた。
時差ぼけか、前日から頭痛が続いている。頭は痛いし、足は痛いしー、天気はそこそこいいのに、元気に外を歩けない。残念だけどまだ先は長いので、今日は昼にいったんホテルへ戻る。戻りがてら、昨日みつけた24時間営業のスーパーで飲み物を購入。緑茶を買う。パッケージはどう見ても中国風なのだけど、緑茶と漢字で書いてある。それも日本人向けにひっそりとやたら高額で売られているわけではなく、あきらかにアメリカ人向けに売られている。前回来たときは確かこんなものはなかった。買ってみた。ホテルで飲んだらびっくりした。日本では考えられないけど、甘い! それもものすごく! 砂糖入りの緑茶だ。何か間違えている。この緑茶とならんで、梅緑茶というのもあった。最初はこっちを買おうと思ったけれど、買わなくてよかった。甘い梅緑茶なんて想像すらできない。
ホテルに戻るといつ眠ったのかわからないくらいすぐに眠っていた。
この日のメイン・イベントはヤンキースタジアム(161st Street & River Avenue, Bronx)にメジャーリーグを見にいくこと。滞在中にヤンキースタジアムでの試合はこの日だけだった。これも事前に日本でインターネット予約をしようとしたけれど、よくわからず、当日スタジアムでチケットを購入することにしていた。ガイドブックなどではヤンキースタジアム周辺はあまり治安がよろしくない、と書いてあったので、私はメジャーリーグ観戦ツアーのようなものにしたほうがよいのではないか、と言っていたのだが、試合終了後は人も多いし、きっと大丈夫だろうという麦の言葉で自力で行くことにした。
ホテル近くの28th St.からヤンキースタジアム最寄り駅161st St.まで地下鉄に乗る。前回ニューヨークに来たときは実は一回しか地下鉄に乗らなかった。社用で行っていたこともあって、タクシーを使っていたから。そして地下鉄にはどうしてもいい印象がなかったのだけれど、今回乗ってみたら、そうでもなかった。
ヤンキースタジアムが近づくにつれ、NY(ニューヨークヤンキースね)というロゴの入ったTシャツやユニフォームシャツ、キャップをかぶった大人や子どもがどんどん乗り込んでくる。年齢も関係ない、もちろん男女も。
到着は18:30頃、チケットカウンターでチケットを買う。誘導員の指示のもと列に並んでいるのに、その列に並んでいる人に向かってチケットを売りに来るダフ屋の人たち。こんな時は英語がわからないふりだ! 実際、チケットの実物もよくわからないとどんな偽物をつかまされるかもわからない! 私にはスポーツ観戦趣味がないので、少し高い〜、と思うくらいの席を2枚購入。入口で麦が停められる。どうやら「バックパックは持ち込めないから、預けてこい」と言っているらしい。でも実は何を言っているのかよくわからなかったのだけれども、ちょうど前にいたアメリカ人も同じことを言われていたようだから、とりあえず、ついていく。そうするとスタジアムの通りを挟んだ向かいにある建物の中へ入り、そこで荷物を預けている。金額とかも書いていないものだから、とりあえず前のアメリカ人と同じ$5を払う。これが値段なのかチップなのかわからないけれど、このアメリカ人がいてくれて良かった〜。
19:05の試合開始に遅れること15分くらい。席についた。1塁側の少し後ろのほうだった。
アメリカの野球の試合は、日本よりも少し展開が早いようで、すっすっすと試合が進んでいく。チェンジの時には大型スクリーンで、野球にちなんだクイズがだされたり、「ママ、誕生日おめでとう! ○○ファミリー」などのメッセージが流されたりする。そしてそのメッセージの一番最後には、ドラマ「フレンズ」で見た、プロポーズメッセージも。こういうのに、アメリカ人は異様に興奮するもんだ。
何回も言うけれど私はスポーツ観戦趣味がないので、ありがたみも薄いのだけれど、この日、ヤンキースの人気選手ジーターが2000本安打を達成した。スタンディングオべーションだ。拍手鳴りやまず。2塁まで進んだジーターは2回ほどヘルメットをとって拍手に応えていた。ちなみに同日2001本も記録。そのときにはスタジアムに「2001年宇宙の旅」の音楽が流れた。このセンスは少しおもしろかった。あ、もひとつちなみにこの日はタイガー・ウッズが観戦に来ていて、スクリーンに大写しされていた。
物売りの人たちがいる。ピーナッツ、水色の綿飴(英語でcotton candyていうんだね。初めて知った)、クラッカーなどを独特の売り声で売っている。ピーナッツは手を挙げて合図をすると、遠くからびゅっと投げてくれる。料金は取りにやってくるんだから同じなのですが、このパフォーマンスはおもしろかった。どんぴしゃって感じで。
5回のチェンジの時には、グラウンド・キーパーたちがグラウンドをならしながら、YMCAを踊る。これもちょっとおもしろかった。そして7回にはみんなでTake me out to the ball gameを歌った。Take me out to the ball gameの部分しか歌えなかったけれど。
試合はヤンキース押され気味で8回裏まできたところでいつの間にか雨が降ってきた。最初はよっく見ないと気づかないくらいの雨だったのがあっという間に豪雨。席は屋根のあるところだったのだけれど、本当に豪雨。グラウンド・キーパーたちが、マウンド上などをチェックしにいったかと思うと、ある一方に向かって十数人がかけだしてきた。グラウンドの隅に丸めてあったシートをなれた手つき(というか体つき。いやすごい重労働だと思う)であっという間に広げてマウンド上に広げ始めた。どうやら雨天中断。もうほとんど終盤だったので、シートを広げる様子を見て、私たちも帰ることにした。
スタジアムの外に出てみるとすごい雨。麦の預けたバックパックに折りたたみ傘とタオルが入っている。そこまでわずか十数秒。あっという間にびしょぬれだ。地下鉄のホーム(地下鉄といってもヤンキースタジアム最寄りの161st St.は地上駅)は押すな押すなの大にぎわい。これだけ大量の人を動員し放出するスタジアムの駅としてはちょっと狭い気がする。傘を持っていない人も多くて、傘をさしていてもぬれた人たちと接触してぬれていく。電車がわりとすぐに来た。とりあえずこれに乗らねばまだ後からやってくる人たちがたくさんいる。このホームはとっても危険に感じ、とにかくぎゅーぎゅー乗り込む。「もう乗れない! もう無理だから、次の電車にしてよ!」と既に乗っている客が叫ぶ。日本ではもっとすごい満員もあたりまえなのに、ホームにいる人たちはすごい雨にぬれながらもそういわれると、乗るのをやめる。ドアはスムーズに閉まり、電車は走り出した。この日ホテルに戻ったのは22:30頃。
BOSTON
2006/05/27/
朝8:00にホテルをチェックアウトし、Penn Stationへ。9:30発のAmtrakに乗ってBostonのSouth Stationへ。Amtrakは定員制の自由席で、出発直前まで発車ホームがわからない。電光掲示板の前で自分の乗る電車が何番ホームから出発するのかが表示されるまでひたすら待つことになる。出発15分前くらいになると掲示板にホームナンバーが表示される。そうするとその電車に乗る人たちは一気にそのホームへ降りるためのエスカレーターへと向かう。5/27〜5/29までは、土・日・祝日(メモリアルデー)のため、週末にでかける人は比較的多かったのではないかと思う。しかし、とりあえずいい具合に席を確保し、いざ出発。ボストンまではおよそ4時間。ニューヨークを出発して1時間くらいは、なんともさびれた風景が続く。アメリカの裏側という感じか。割とやるせない、やりきれない風景だった。
電車内は冷房が効きすぎていて寒い。
13:30、South Stationに到着。電車を降りてホームの出口付近で電車の写真を撮ろうとカメラを構えると、「Move! No Photo!」と言われる。なんだよ〜、けち! と言ってにらんでやった。
そこから地下鉄に乗ってホテルの最寄り駅、Park St.へ。ボストンもニューヨークと同じくらい地下鉄が発達しているのだけれど、少しおかしな現象もある。ガイドブックでは、まず地下鉄に乗るためにトークンを買うこと、とある。トークン発売機もあるけれど壊れていることが多いので、窓口のほうが安心とも書いてある。実際この後利用する地下鉄駅ではどこでも3機ほど発売機があるものの、ほとんどみんな窓口(一カ所)に並んでトークンを買っている。そしてSouth Stationでは新しい機械があって、そこではトークンではなく、日本でいうパスカード、ニューヨークでいうメトロカードが売っていた。2回乗車分の$2.5を2枚購入して改札を抜ける。でも実はこのカード、使用できる改札のある駅に今回の滞在中ではその後出会えず、結局1回乗車分の$1.25は使えずじまいだったのだ。ひっどい!
Park St.で降りて地上へ。さわやかな気候だった。駅から歩いて数分のOMNI PARKER HOUSE HOTEL(60 School Street, BOSTON)で14:00チェックイン。ここはとても重厚な作りのホテルでなにやら由緒正しいところらしい。ケネディが演説をした部屋とかも残っている。部屋は広めの角部屋。扉裏にある非常口確認フロアプランを見ると、両隣などはずいぶん狭く、ちょっと得した気分だ! ベッドが異常に高く、私では腰掛けられないくらいだった。上にのぼるにも、よいこらっしょという感じで、ベッドに入るというよりもよじのぼるという状態。
チェックイン30分後くらいにホテルを出発し、ハーバード大学へ地下鉄で向かう。大学構内&周辺の散策をした。学生街だけあって若い人が多く店舗も多い。COOP(生協)があり、お土産を買う。Harvardのロゴ入りグッズがたくさん売っていた。
ボストンはニューヨークよりも、のんびりするために人々がやってくる観光地というふうで、地元の人たちも、ニューヨークのマンハッタンに居た人たちよりも少し幸せそうに見えた。セブンイレブンの前には、頼んでもいないのにドアを開ける人がいる。物乞いの人なのだけど、若い白人だ。何人も通りすぎる人たちが居る中でたまに小銭をあげる人もいる。そうすると彼はその小銭を少し離れたところにいる車いすに乗った黒人のおじいさんにあげる、これで何か食べなよ、って言っているふうに。その人たちはいつもそこにいた。店の人も追い払わないし、深くはわからないけれど、物乞いの彼らの目にも絶望はないように私には見えた。
Harvardで数時間すごし、18時前にPark St.へ戻ってきた。それからまた少しホテルで寝た。夜ご飯をどうしようか、と思い、ガイドブックを見て、近くのシーフード・レストランへでかける。「ディナー? それならばあそこの係の人に名前を言って」と言われる。そこで麦がおねいさんに、Mugi Doiと自分のフルネームを言うと、「Doiって、スペイン語(って言ったと思うんだよなぁ。でもひょっとしたら違うかも)で二人って意味よー。おもしろいね」と言われる。Doiって、英語で説明するとき楽でいい。「とりあえずバーで待ってて、45分か1時間くらいしたら呼ぶから」とたぶん言われた。ガイドブックに書かれていた閉店時間の45分前くらいに入店したはずなのに、それってどういうこと?? それもバーで待てって言われても二人ともアルコールは飲まない、でもノンアルコールのメニューはこれこれこれがある、なんてどこにも書いてない!! ど、どどうしたらいいんだーと、二人であせあせした結果、バーの出口からそーっと出てきてしまった。おねいさん、ごめんね! 夜の早いアメリカの街、もうこうなったら閉店間際のマクドナルドかぁ! と半分あきらめたのだけれど、近くのQuincy Marketというレストランやショップがたくさん入った場所に行ってみることにした。そうしたらここはまだまだ大にぎわいだった。レストランはちょっと面倒くさそうだったので、結局FOOD COURTで、ニセ・ジャパニーズフードのコンボを買ってベンチで食べて、ホテルに帰った。比較的観光地中心部だったこともあり、22時をまわっても人通りも多く、危険な感じはしなかった。
Museum of Fine Arts
2006/05/28/
朝9:00にホテルを出発。駅の近くでベーグルを食べる。思いの外満腹になった。
地下鉄でMuseum of Fine Arts、日本語でボストン美術館へ。10時オープンの少し過ぎた頃に到着。1人$15。イヤホンガイドが数カ国語あり、日本語も。この後ニューヨークで行ったメトロポリタン美術館でさえ日本語はなかった。ボストン美術館には日本のものも数多く所蔵されており、日本庭園さえある。そういった関係からかな。
この日は明け方から足が異常にむくんでいて、歩くのがキツイ! 美術館であることをいいことに、イスがあるごとに腰掛け腰掛け館内を歩くことになった。
朝早くに到着したからか人も少なく、また各展示内容によって、床から壁から天井からすべてがデザインされていてそのセンスはとても気持ちがよかった。
お昼は美術館内のカフェにはいった。フレイバー・アイス・ティーとグリーン・サラダ、そしてボストンでは定番のクラムチャウダーを食べた。アメリカに到着して初めてのまともなお食事だったように思う。それでも朝のベーグルが腹持ち良すぎで、クラムチャウダーもカフェオレボールくらいの大きさのものだったのに、もう一生何もモノを食べられないのではないかと思うくらい、おなかがぱんぱんになる。そんなときに限って、担当のウェイトレスさんがなにを思ったのか「これは私からのサービスよ!」といって、アイスティーをもう1杯もってきてくれる。1杯つったって並の大きさではないわけで、でもその好意を無駄にするわけにはいかない! がんばって飲んだ。あとで思うと、たぶん彼女はその後のデザート&コーヒーのオーダーを期待していたのではないかと思う。チップは彼女たちの取り分だから、合計額が多ければその分チップも多い。そのための彼女の作戦だったに違いないと思う。けれども、その期待に応えられるほどのスペースがわたしのおなかには残っていなかった。
その後重いおなかを引きずって(?)大好きなミュージアムショップへ。どこそこの、ではなく、ミュージアムショップというものが好きなのだ。
昔っから、本屋や図書館に行くとトイレに行きたくなる。ボストン美術館ミュージアムショップの本コーナーに行ったら、トイレに行きたくなった。この時のこれは食べ過ぎも原因のひとつだと思うのだけれども、どうもこの日を境に、アメリカでは本屋に限らず、なんらかのお店や建物に入ると15歩目くらいからおなかが痛くなるようになってしまった。
14:00、Museum of Fine ArtsからGovt. Centerへ地下鉄で移動。ここでボストンの地下鉄のおかしな現象がおきる。Museum〜は地上駅だ。駅は改札などがなく、東京で言うと東急世田谷線のようなつくりになっている。世田谷線の場合、電車に乗り込む時に電車の運転手さんか車掌さんに運賃を支払うわけだが、ボストンの地下鉄では支払わなくてよいのだ。そのことがガイドブックに明記すらされている。どうもそのシステムも実のところどうなのか何が正しいのか真意はよくわからないのだけれど、とにかくこのボストン美術館からの帰りの地下鉄はただ乗りだった。得した!
Govt. Center駅から昨晩行ったQuincy Marketへ向かう。いくつかのお店を冷やかして、お土産を少し買って、夜ご飯をFOOD COURTで買い、ホテルへ戻った。
NEW YORK AGAIN
2006/05/29/
前日わりと早い時間にホテルに戻りゆっくりしたこともあって、だいぶ足も回復した。
7:00に起き、Beacon Hillという地域に散歩にでかける。この日も休日、まだ地元の人たちは寝ているようで、街も静かだ。少し涼しい街を小一時間散歩する。ニューヨークでもワシントンでもそうだけれど、ボストンでもParkと名のつく緑のある場所には決まってリスがいる。アメリカ到着初日、ユニオン・スクエアでフライドポテトを両手でかかえて食べているリスがいて、これ以上アメリカっぽいリスはいない、と思った。こちらのリスは人になれている。人を見ると何かくれるの? という感じで近づいてくる。でも何もあげずにただカメラを構えたりするとすぐにどこかに行ってしまう。
この日の朝食はホテルのビュッフェにした。少し高めだけれど、1回くらいはいいだろう、ということで。一通り食べ終わったあと、コーヒーやジュースをサーブしてくれた人が「もうお皿をさげてもいいですか?」と聞いてきた。一瞬聞き取れ無くって思わず「What?」と言ってしまった。いつもなら「Pardon me?」と言うのに! 思わず出た言葉が「What?」だった。これはきっと失礼な言い方だったに違いないと、今でも思い出しては後悔しているのだけれど、誰かそうでもないよ、と言ってくれないかしら。
この日はボストンからニューヨークへ戻る日。Amtrakまでまだ時間があるので、ホテルはチェックアウトし、近くのお店を見に行く。BORDERSというこの後ニューヨークでもよく見かけることになるBOOK&MUSICのお店に行く。ここではお土産用にCDと雑貨を買う。麦が、変なマウスパッドを買った。2枚。マウスパッドというのはそもそも下面は滑りにくい素材でできている。麦は2枚のマウスパッドをちょうどはじもきっちり重ねてレジに持っていったら、レジのおにいちゃんは1枚と勘違いして、後でレシートを見たら、1枚分しかレジを通っていなかった。得した!
Park St.からSouth Stationまで地下鉄で移動し、13:45のAmtrakに乗ってニューヨークへ戻った。ニューヨークでのふたつめのホテルは、HUDSON(356 West 58th Street, NY)。ここは日本の旅行会社が「ニューヨークでデザイナーズホテルに宿泊!」というツアーを組むくらいおしゃれな正真正銘のデザイナーズホテル。表には看板が一切出ていなくて、不思議な建物。ドアマン兼ポーターとして白いTシャツに黒いチョッキを着た若いにいちゃんたちがいるのだけれど、6泊の滞在中、彼らにドアを開けてもらったことは一度もなかった。
まぁ、内装はしゃれているから、若い人たちにはいいかもねー、という感じで、うーん……期待とは少しはずれた!という具合。しかし、立地はよく、コロンバス・サークルからすぐのところにある。
チェックイン後早速コロンバス・サークルに2004年にオープンしたThe Time Warner Centerの地下にあるWhole Foods Marketへ。ここでは、自分で選べるビュッフェスタイルのコーナーがあり、テイクアウトができる。時間帯が時間帯で非常に混んでいたのでこの日は、見渡すだけにして、夕食を食べるお店を探して少し歩いてみる。54th St.あたりまでくる。ここのストリート沿いには、アメリカに来てからちょっと見てみたいと思ったブロードウェイ・ミュージカル「The Threepenny Opera/三文オペラ」をやっている劇場がある。そこをのぞきに行ってみるがこの日は月曜で休演日だった。この劇場の向かいに、Little Bangkokというタイ料理屋さんがある。そこで夕食となった。おいしかったけど、量が多かった。
ホテルへの帰り道、ファーマシーで爪切りを買う。荷物チェックが厳しく飛行機には乗れないかもしれないので、おいていくの覚悟で、$1しない安いのを購入。いや、切れ味はほとんどなかった。
Guggenheim mmmm…
2006/05/30/
晴天。まずは情報収集のため、ビジター・インフォメーション・センター(810 7th Ave.)にホテルから歩いて行く。なんだか勝手に日本人が「こんにちは!」て迎えてくれると思っていたら、アメリカ人しかいなかった。
ラックにたくさんならんだマップやパンフレットの中からめぼしいものをピックアップ。案の定トイレに行きたくなるけれど、ここにはなかった。
City Passを購入($63×2)。これは9日間有効のチケットブックで、グッゲンハイム美術館、MOMA、サークルラインクルーズ、エンパイアステートビル、アメリカ自然史博物館、イントレピッド海洋航空宇宙博物館の6スポット分のチケットがついている。予定では、アメリカ自然史博物館とイントレピッドは行くつもりはないけれどもそれでも買ったほうがどうやらお得らしいので、買っておいた。
それからガイドブックに載っていて目を付けていた、リンカーン・センターのバックステージ・ツアーのパンフレットがあったので、「これは予約が必要ですか?」と聞いてみると、「何これ? このパンフレットはどこでもらったの? 見たことないなぁ」と言われる。「いやここにあったんだよ」と言うと、「うーん、たぶん直接行けばいいんじゃないかな。予約は必要ないと思う」と言われた。
当初ビジター・センターを訪ねた目的のひとつでもあった、ブロードウェイのチケットインフォメーションはここにはなさそうだったので、少し足を伸ばして、タイムズスクエア・ビジターズセンターへ歩いていく。
ニューヨークの街は歩きにくい。道がまるで切り貼りでもされたようにアスファルトが切れ切れで、段差が多い。中には、ぽっこりとへこみがあったりもする。歩道と車道の段差も半端ではない。
そして、歩行者は信号をあまり見ていない。もちろん信号はたくさんあるのだが、赤だろうが車が来なければおかまいなしに、どんどん渡る。ニューヨークの街は、一方通行がほとんどだから、片方向さえクリアならば渡っても大丈夫なのだ。
タイムズスクエア・ビジターセンターのブロードウェイ・チケット・センターで、「三文オペラのチケットがほしいんだけど」と言うと、「三文オペラはここでは扱ってないんだよね。直接劇場に行って」と言われる。では明日行こう、ということになった。
その後、49th St.から地下鉄に乗って86th St.アッパーイーストサイドまで行く。
アッパーイーストはミッドタウンとは違って、少し落ち着いた雰囲気のハイソな街だ。気温はとても高く、今日は夏日のよう。
グッゲンハイム美術館へ向かう。ここは巻き貝のような外観が特徴的な美術館で、麦は大好きなシャガールがあるので、計画当初から必ず行くリストに入っていた所だ。しかし、建物が見えてくると、なんだかしらないけれど、建物に足場が組まれて、シートをかけられている部分もある。「!」。すこーしいやな予感がしながら、館内へ。入るとすぐに、エントランスがあって、そこから頭上に大きな吹き抜けがありそのまわりをらせん状に展示回廊(ロタンダ)がある、のだが……。塗料やら、接着剤やらのにおいがぷんぷんし、ズボンからTシャツからペンキまみれの若者が右往左往し、なんだか巨大な木箱がエントランスに積まれている。明らかに、なにやら作業中の雰囲気。チケット・カウンターに行くと、「今日見られるのはタワービルのほうだけ。全部見られるのは土曜日からだ」と言われる。タワービルのほうだけ、というのがいったいどのくらいの量をさすのかもわからないし、わりとスケジュールは立て込んでいる。土曜に再度出直すというわけにも行かず、とりあえず入館する。
結果的には、タワービルはあっという間の出来事だった。セザンヌ、カンディンスキーはほとんど見ることができたようだけれど、モディリアーニやシャガールは見られなかった。半分(なのかな?)見られないから、少し安くなることもなければ、作業は閉館してから、お客のいない間で、なんていくこともなく、お客がいる中、もろバックステージ風景であるはずの展示作業をそのまま進めるあたりが、日本とは違うなぁと思う。作業自体はとっても興味深く、それが見られたのは良かったけれどー。
ミュージアムショップに行く。グッゲンハイムのショップは狭いから少し残念だった。買わなかったけれど、建物の外観を思わせるような、白いぐるぐるマグカップはかわいかった。
さて、どうしよう。思いの外、早く美術館を出ることになってしまった。メトロポリタン美術館は別の日にきちんと時間をとることにするとして、ではアッパーイーストにあるもうひとつの美術館、ホイットニーに行こうということにする。でも、おなかもすいた。日本から持っていったガイドブックをぱらぱらと見てみる。グッゲンからさほど遠くないMadison Ave.沿いに、Le Pain Quotidien(1131 Madison Ave.)という、ベルギー生まれの自然食志向のレストランが掲載されていた。とりあえずそこに向かう。間口は狭いのだが奥行きがある、明るいおしゃれなお店だった。陶器製のまな板のようなものの上に乗った、オープンサンドのお店で、パンも固めでかめばかむほど味が出るタイプ、野菜も新鮮でトマトなんかパリパリである。日本とは比べものにならないくらい大きなキュウリもうまい! 食べたらとっても元気になった!
さて、おなかも満たされて、気分もうきうきしてきたので、ホイットニー美術館に徒歩で向かう。
ホイットニー美術館に到着すると、どうも雰囲気が静かだ。人がいない。看板を見てみると、火曜日は美術館はお休みと書いてある!! ゲゲゲゲ! なんてこと! こんなことがないように、事前にガイドブックを見て休館日を調べておいたのにぃぃ。どうやら同じページに書いてある他の美術館の休みをチェックしていたらしい。う゛ー! でも幸いなことにミュージアムショップはやってる、って書いてある。とっても無愛想な警備員の横を通って地下にあるミュージアムショップに。せっまいし、売り子さんは一人だけ。どうやらずっと私用電話をしている。はーあ、ショップもこれといってめぼしいものもない。ものの30分くらいでまた出てくる。あー、どうしましょうね、まだ13時過ぎ。そうしたら、もともとの予定にはなかったけれど、City Passも買ったことだし、アメリカ自然史博物館に行くことにする。ホイットニー美術館のある、75th St.から少し北上して79th St.を通ってセントラル・パークを横断してアッパーウエストサイドへ向かうことにする。セントラル・パークはよく分からないけれど、迷うとどうやらまずいらしい。まだまだ陽も高くきっとほとんど大丈夫だろうけど、下手に細かい道へ行くのはやめておく。思いっきり車が通る大きな道を行くことにした。片側一車線の車道とその両側に歩道があるのだけれど、両側は高い壁のようになっている。まっすぐではなくゆるくカーブしている道で、私たちの前を行く歩行者はおらず、後ろを来る歩行者もいない。車はひっきりなしに両車線とも走っているのに、どうも閉鎖的な道だ。もし、万が一危ない目にあっても、きっと車は止まってくれないんだろうな、同じ交通量でも夜は絶対歩けないなぁとか思いながらひたすら歩いた。歩行者がいないのだから危ないも何もないのだけれど、なんかそう思った。
もうそろそろアッパーウエストサイドに出る、と、なんとなくほっとしたあたりで、中年の欧米人夫婦とすれ違った。
アッパーイーストでは79th St.と通じているこの道も、ぐんにゃと曲がっているので、アッパーウエストサイド側では81st St.と82nd St.のちょうど間くらいに出てくる。そこからアメリカ自然史博物館は目と鼻の先だ。
City Passには通常数ドルかかるスペースショー(プラネタリウムで投影される、地球の誕生を説明したショー)のチケットがインクルードされているということなので、入館して一時間後のショーを予約しておいた。ここでも麦のバックパックはクロークに預けたのだけれど、$2かかった。
結局、全部隅々までは見なかったのだけれども、やたらめったら剥製がたくさんいた。かなり大型の動物のものもあって、きっと珍しいものも中にはあったのだろうけれど、私は剥製って全然興味がない。実は。一緒に記念撮影したりしているのは、百歩譲ってわかるけれど、剥製だけの写真を嬉しそうに撮っているおとなの気持ちはすごくわからない。何が嬉しいのだかー。もともとあまり行く予定でなかったり、朝からけちのつきまくりだったりで、今一楽しいポイントをみつけられず、恐竜コーナーでは道順を逆に進んでしまうありさまだった。
Big Bangという、大きな球体の建物の中で宇宙の誕生を再現するミニシアターがあり、そこは無料で見られるので、入ってみた。うん、なんだか今一。小学生あがる前くらいの男の子が終わったあと、あまりの音の大きさに半分泣きながら「なんだよ〜これ〜、ボクはもっと他のがみたいんだよ〜」とべそをかいていたのがかわいかった。
この博物館は、ミュージアムショップが館内に点在している。その場所をみつけるのが、迷路のようで少しおもしろかった。しかし概して子ども向けの玩具系が多く、これぞというものには出会えなかった。ひとつ、あー! 欲しいなぁ、と思ったのは、たまたまこの時にはダーウィン展をやっていて、蝶の羽の模様がA、B、Cというようにアルファベットに見える写真がA〜Zまで並んでいたポスター(だと思う。額縁に入っていたのでよくわからないけれど)。でも少し大きくってあきらめた。
なんだかんだといいつつも館内の広さも手伝って、1時間半ほどいて、一度ホテルに戻ることにした。夜はミュージカル第一弾「オペラ座の怪人(The Phantom of the Opera)」を見ることになっているので、Whole Foodsに寄って、先に夕食を買っておいた。
私は「オペラ座の怪人」は映画で見ただけで、ミュージカル初体験だ。麦は、ロンドンでも見たし、劇団四季でも2回も見た、という。それでも、まだ見たい、という。そんなもんかなぁと思って見に行った。
劇場はMajestic Theatre(247 West 44th St.)。ブロードウェイの劇場の面している歩道は、開場前はどこもごったがえしている。ひとつの劇場のキャパシティが大きいので、指定席といえども、一部の人たちが開場前に劇場に着いただけで大勢の人たちであふれてしまうのだ。ただそこの歩道を通りたい人たちは、いったん車道に降りて劇場前を横切ることになる。
基本的にチケットをもぎることはなく、チケットに印刷されているバーコードをバーコードリーダーで読み取るだけで入場できる。ロビーを抜けて劇場内に入ると、PLAY BILLという冊子を抱えた、劇場付きの係の人が立っていて、その人にチケットを見せると席を指さしてくれる。PLAY BILLというのは、早い話が出演者紹介など公演データが入った冊子で、表紙と各ミュージカル固有のデータ部分のみ違いそれ以外の部分の広告、ちょっとしたコラムなどは全劇場共通の冊子だ。これはロングランシステムのブロードウェイだからできることで(オペラ座の怪人なんか、1988年からロングラン中だ。キャストたちなんかさながら、マジェスティック劇場に毎日毎日通勤している会社員のようなものだ)、日によってキャスト変更などがある場合は、小さな用紙がはさまれていて、そこに変更事項が記されている。
「オペラ座の怪人」はロングラン記録を更新中ということもあり、言ってみれば、ブロードウェイの超王道といったところだろうか。ほとんどが観光客だと思われる観客層を見ても、そう思える。
生のオーケストラの迫力、大掛かりな舞台転換(それも早変わり)はあるけれど、あまりにもシステマティックで逆に少〜し醒めてしまう雰囲気もあり。でも、一大エンターテインメントとして十分楽しめる舞台だった。
2時間半の上演時間で、終演後は歩いてホテルまで帰った。
Metropolitan Museum of Art
2006/05/31/
朝10時からのLincoln Centerでのバックステージツアーに参加しようと、9:30頃ホテルを出発。Lincoln Centerへは、歩いて10分ほどだ。Lincoln Centerは、5つの劇場とコンサートホール、図書館、野外劇場からなる複合施設で、映画ウエストサイド・ストーリーの舞台となった地域にある。中村勘九郎(現・勘三郎)が「平成中村座」と銘打って芝居小屋を建てたのも、この敷地内。
メトロポリタン・オペラ・ハウスの地下にあるツアーデスクに行って、「10時からのツアーに参加したいんだけど」と言うと「10時からのはないよ。12:45からだよ」と言われた。えええ〜、今日はメトロポリタン美術館Metropolitan Museum of Art に行く日だから、そんな時間までぶらぶらしていられないんだよねー、と思い、次の次の日、6/2の12:45のツアーを(結局)予約して、メトロポリタン美術館へと向かうことにした。
とにかく広い館内を、とりあえずまわりはじめる。平日だからか思ったほど人も多くなく、自分のペースで歩けるのが、いい。
ここに限らずなんだけど、アメリカの美術館の学芸員の人たちは、男性が多い。日本だと、部屋のはじっこにパイプイスに座り、膝掛けをかけた主に女性がいることが多いけれど、こちらは、スーツを着て、ネクタイをしめた男性が部屋の入口付近に暇そうにたっている。たまに女性がいても、ほとんど同じ格好。若い人も年寄りの人もいて、絵や展示物に近づきすぎると「もう少し離れて」とか「さわらないで」とか言う。ずっと立っているから大変そうだな、と思う。日本だと、学芸員って資格を要する職業だと思うけれど、アメリカのこの人たちの場合、どうなんだろう? と思う。展示物のこととか聞いたりしている人はあまりみかけなかった。
展示室は、非常に入り組んでいる。普通の人より方向感覚に優れた麦と一緒にいたからいいけど、私一人ならいっぱつで迷子だ。同じ場所をぐるぐるぐるぐるするはめになるだろうなぁ。そして隠し部屋じゃないけれど、あきらかに壁に遮られていて、その前を通っても、その奥に展示物があるとは思えないような部屋もあった。どこも同じ雰囲気でないのは、とてもおもしろかった。
お昼ご飯は地下のカフェテリアで食べた。他のレストランは、わりとゴージャスで、前菜、メイン、なんちゃらかんちゃらと、ちょっと面倒くさそうで、高かった。カフェテリアは、セルフサービス方式で、パスタ、とかバーガーとかが売られている。新しいのかとてもきれいだった。
その後も見切れないほどの展示を体力の許す限り見る。どこそこの国のなになに様式の部屋、を家具調度品から、壁や天井、床の造形まで再現している部屋がいくつもあって、それがおもしろかった。
そして最後には、私の大好きなミュージアムショップへー! 美術館の大きさに比例して、品揃え、フロアーの広さも申し分なかった。
11:30に入館して、退館したのは17:30。まだまだ見られなかった部屋もあったけれど、大きくひとつ満足した。
Whole Foodsで夕食を買っておいてから、地下鉄で8th St.へ。Off-Broadwayの「ブルーマングループ(Blue Man Group:Tubes)」を見に行く。劇場はAstor Place Theatre(434 Lafayette St.)。ここは、いわゆるブロードウェイのl000人規模の劇場ではなく、日本の小劇場のような規模で、200人キャパくらいの2階建ての劇場だった。日本で予約したのだけど、1階の前のほうの席は雨ガッパを着せられる、とあるのでだいたい予想はついたので、2階の一番前の席を予約した。このBlue Manというのは、数年前に日本でたしかコンパックかなんかのテレビCMに出ていた、顔を青く塗った3人の男が繰り広げるコメディで、台詞はしゃべらず、動きや音楽で見せる舞台。到着した時にはお客がほとんどいなくて、1階席もがらがら。いやー、こんな状態じゃぁ、盛り上がるものも盛り上がらないな、と思っていたのだけれど、開演直前にぞくぞくと入場。結局、満員でスタートした。はじまって20分ほどしたところで、遅れ客が入ってくると、舞台上からカメラでその遅れ客を写し、「Too Late! Too Late!」とヨーデル風に高らかに歌いあげたりもします。客をいじったり、電光掲示板を利用したり、映像を使ったり、とにかく飽きさせない1時間半で、ずっと笑いっぱなしだった。
The Threepenny Opera
2006/06/01/
朝は少しゆっくりめで、お昼頃ホテルを出た。5番街に5月にできたばかりの、Apple Storeへ行く。
なんとここは24時間営業、年中無休なのです。入口はガラス張りのキューブの中にある螺旋階段をくだっていきます。店舗部分は地下。このお店でおもしろかったのが、店員。全員おそろいのTシャツを着て、首からは、iPodのような白いタグを下げていてそこに名前が書いてあります。Tシャツを上に着る、ということ以外ボトムや足下はそれぞれの個性にまかせられているようで、みんな個性的。帽子をかぶっている人もいれば、ビーチサンダルを履いている人もいたり、タトゥーが見える人もいる。人種も様々で、日本の秋葉原にいそうなオタクっぽい人もいるし、街に普通にいそうな若者もいる。とにかく個性的なんだけれど、みんな仲良し、て感じがとてもおもしろい。
ホテルにはビジネスセンターがあって、インターネット接続のできるパソコンもあるのだけれど、15分で$6もするから、メールチェックとかしないでいたのだけれど、このApple Storeには、デモ機がたくさんあって、みんな自由にさわれるようになっていたので、Yahoo! Japanに接続してみたら、接続できた。NYで旅中にインターネットで調べものがしたいときには、ぜひApple Storeへ。
そこから歩いてMOMAへ。53丁目の5番街と6番街の間にあります。ミッドタウンの中心地に近いからか、人も大勢います。ここでは、無料でイヤホンガイドが借りられる。日本語もあり。イヤホンガイドというよりも、電話の子機のようなものを首からぶら下げて、絵の前で番号を入力して、電話をするように、聞く、というシステム。無料だということもあってか、たくさんの人がレンタルしており、ひとつの絵の前で何人もの人がこのガイドを聞いている。ピカソやセザンヌ、シャガールやマチス、ダリなど有名どころの絵が多く展示されていて、その絵の修復についての解説とかはおもしろかった。館内はそんなに広すぎず、1日かければ、ずいぶんじっくりと内容を見てまわれそうだ。でも、館内の様子が全部が統一されてモダンで、照明も全部明るい、という感じで、あまり情緒みたいなものが感じられない。ライトな感覚で見てまわるにはいいかもしれないけれど、絵を楽しみたい人には、人の多さも少しあわただしい感じだ。
しか〜し、ミュージアムショップはやっぱり楽しかった! インターネットでネットショップもあるんだけれど、MOMAのショップで販売されているものは、おしゃれなキッチンウェアとか実用的なものがたくさんあって、とっても楽しい。麦は、メガネをかけた少しおかまっぽい男性店員につかまって、メガネケースを薦められている。で、結局2つも買ってる。会計の時には、クレジット・カードの名前を見て、「Oh
Mugi!」とか言われて、「THANK YOU VERY MUCH.」て、すごくじっくり言われていた。私のことなんて、目にも入っていなかったようだ。夜のミュージカルまで少し時間があったので、冬、スケートリンクになることで有名なロックフェラー・センターに行ってみる。私は前回NYに来た時に見ていたから知っていたけれど、麦はあまりの狭さに愕然としていた。確かに、TVで流れる映像を見ると、ずいぶん広い場所のような感じがする。夏場は、カフェになっていた。
途中のカフェテリアで、夕食を食べる。私は、久々にご飯が食べたくて、カリフォルニア巻き、麦はカルツォーネを食べる。
その後、歩いて54 Studioへ。今日は、「三文オペラ(The Threepenny Opera)」の日!
席は後ろから5列目くらいでほぼど真ん中。なかなかの席でした。とにかくこっちのホールは、入口からは想像もつかないほど中がでっかい。
「三文オペラ」は、とにかくかっこよかった。クルト・ヴァイルの曲をオケでやると、こんなかぁ、という感じで。舞台装置もとってもシンプル。大きなネオンサインが幾種類もでてきて、それで場面を表している。シーンの説明は電光掲示板でおこなわれる。衣裳もパンク・ファッションでめちゃくちゃかっこいい。三文オペラはオペラとはいえオペラではないので、台詞と歌がとてもはっきり分かれていて、前を向いて、がつんと歌う感じが多かったんだけど、シンディ・ローパーのソロモンソングなんて、最高だった!
話の内容をわかっていたことと、歌も知っていたから、全編英語でも大満足!! 見て良かった。
Lincoln Center Tour
2006/06/02/
12:45からのLincoln Centerのバックステージツアーに向けて、Time Warner Center2階のカフェで軽く腹ごしらえ。今回の旅行で、私のほうが麦よりも英語で会話ができることが判明! たぶん、麦は、文法的にすごく正しいんだと思うけれど、考えながら話すからなかなか話が進まない。私は「だいたい」なので、相手が20ワードくらい話しをしたら、その中でも重要なひとつかふたつの言葉がわかれば話は通じるのだ。
さてそれから、Lincoln Centerへ向かう。参加者は全部で私たちを入れて10人くらい。日本人は私たちだけだった。事前に、日本語で書かれた説明書をもらう。
所要時間は約1時間。麦はシャガールの絵がロビーにあるメトロポリタンオペラハウスを一番見たがっていたのだけれど、残念ながらシーズンオフのため、見られず。ニューヨーク州立劇場と、ミッツィーE.ニューハウス劇場、エイブリー・フィッシャー・ホールの三つを見学。ニューヨーク州立劇場ではたまたまバレエのリハーサル中で舞台を少し見ることができた。ラッキー。いわゆる馬蹄形の客席で、全部で約2,800席もある。かなり上のほうの客席フロアから見たのだけれど、傾斜がきつく、舞台にむかって転がり落ちそうで、少しこわかった。
次に行ったのは、ミッツィーE.ニューハウス劇場。半円形の客席で約280席の、小さな演劇ホール。シェイクスピアの作品などもよく上演されるそうだ。劇場じたいは空いている時間だったのだけれど、舞台上にひとつの裸電球がともっていて、それのことを「スピリットライト」とか、何とか言っていたけれど、とにかく人がいない時でもずっとつけておくライトだそうだ。
最後に行ったのが、エイブリー・フィッシャー・ホール。ここも約2,800席もある、大きなホールだった。ニューヨーク・フィルハーモニックの本拠地であり、舞台側面や天井、客席の壁もすべて波形の板がはめてあり、それが反響版の役目をしているそうで、とても響きのいいホールだそうだ。
私たちの他のツアー参加者は、10代の女の子が二人いる4人連れの家族と、年配の夫婦が二組だった。3つの建物をぞろぞろと移動して、いくつものドアを出入りするのだけれど、そのとき必ず、男性がドアをぐわっと開けて押さえていてくれる。他の女性陣は慣れたもので、そのまま出入りしているのだが、私はなんとも気になって、毎回「Thank you.」と言ったりして、とっても疲れた。自分でやるからいいよー、と言いたくなる。
ツアーも終盤、だんだん雲行きが怪しくなってきた。今日はこの後、地下鉄でSOHOまで行って街歩きの予定。ちょっと急ぎ目で、SOHOに向かう。
SOHOは小さな、少しこじゃれたお店がいっぱいある。ぶらぶらと歩きながらウィンドーショッピング。MOMA STORE SOHOがあり、そこに入る。と、いつものようにおなかが痛くなってくる。お店にはトイレがないので、しょうがなくはす向かいにある、スターバックスに入る。と、ほどなく土砂降りの雨が降り出す。こちらではこういった雨のことをshowerと言うらしく、テレビの天気予報でもshower showerとよく言っている。すぐに止む気配もなく、40分ほどスターバックスでぼーっとする。小降りになってきたのを見計らって、MOMA STOREへ戻って、麦は、昨日から悩んでいた、腕時計を購入した。
18:00、Canal St.から地下鉄に乗って、Grand Centralへ。地下鉄は雨の影響もあってか、めちゃくちゃ混んでいる。ホームには乗り切れないお客さんがあふれている。
Grand Centralで、念願のOyster Barへ。観光客が多い店だろうに、メニューがあまり親切ではない、というか、メニュー量がとても多くて、全部に目を通そうと思うと、10分やそこらじゃ足りない、くらいだ。どのくらいの量ででてくるかもわからず、少々不安ながら、生牡蠣と、エビ料理、クラムチャウダーを頼む。パンは無料で(というか、サービス料にインクルードで)たくさん出てくる。量はちょうどよく、味もおいしかった。前回NYに来た時には、仕事で、店の外観だけ写真に撮って、いつか食べにきたいなぁと思っていたので、念願かなった!
雨の中、歩いてセント・ジェームス劇場(246 W.44th St.)へ。今日のお題は「プロデューサーズ(The Producers)」。最近日本でも映画が公開されている、メル・ブルックスのヒット作。席は、前から2列目。でも1列目は人を入れていないから、事実上の最前列。すぐそこにオケピットがある。日本の場合、消防法上の規制で、舞台つらから客席は最低1mはなきゃいけないはずなんだけど、こっちはあまり関係ないみたい。2列目だけれど、手を伸ばせば、役者にさわれそうな近さだ。あまりの近さに最初は見づらいかなぁと少し心配だったのだけれど、はじまってしまったらそんなことは気にならなかった。内容は、なんとなくしかしらなかったんだけれど、「これぞ、ブロードウェイ!」といわんばかりの内容と見せ方で、とっても楽しかった。ラインダンスやタップダンス、装置のチェンジも大掛かりだけれど、スムーズで、客席の位置が下手だったので、袖中もちらりと見えたりして、おもしろかった(後日日本で、映画版を見た。主要キャストは舞台版と同じ人たちが出ていて、ミュージカル映画としても十分楽しめる内容だったのだけれど、舞台を見ていた私たちは、他の人たちよりもきっと数倍楽しかったに違いないと思って、嬉しかった)。
あそこまでおおがかりにやってくれたら、マイクを使っていることだって気にならないよなぁ、という感じ。日本でミュージカルは見たいと思わないけれど、ブロードウェイを見る為に、またNYに行きたいなぁと思わせる舞台だった。大満足!!
今回NYで見た、4つの舞台はどれもこれも趣向が違っていて、チョイスが良かった。オペラ座の怪人は、内容としては私はあまり満足ではないけれど、大掛かりな舞台セットやけれんみたっぷりな感じや、ミュージカルといえばオペラ座の怪人みたいな雰囲気もあるから、まぁ見ておいてよかったか、という感じ、ブルーマンは台詞のない音楽とパフォーマンスで見せる、小劇場系の舞台としては秀逸、わかっていても笑ってしまう、3人の芸達者ぶりは、もう一度見てもいいかも、と思わせる内容だったし、三文オペラは、ビジュアル、歌ともに、派手さはないけれど、玄人うけする仕上がりで、役者たちのうまさも光っていた、とても完成度の高い作品だったし、プロデューサーズは、お話のすじ自体はご都合主義のありえない内容なんだけれど、ブロードウェイという、なんでもありの世界を舞台にしており、きらびやかでこれでもかと言わんばかりのサービス精神、それでいて一人一人の歌唱や演技やダンスは超一流という、超娯楽作品だったし、どれもこれも見てよかった! と思える作品で、私も麦もだてに舞台の仕事をしていないなという、さすがの選択眼の持ち主だったということが判明した。
Last Day
2006/06/03/
厳密に言うと、帰る前の日、最後の前の日だけれど、明日はもう帰るだけなので、実質最後の日です。今日は朝から雨でした。まず、Ground Zeroに行く為、地下鉄に乗ってPark Pl.へ。新しい建物、や公園にするための工事がまだ続いている。もちろんワールドトレードセンタービルの面影も何ももすでになく、正直言って、あの日、夜、一人で家で見ていたテレビのあの映像がこの場でおこったことだとはまったく結びつかないのだ。なんともはっきりとしないもやもやとした思いだけがある。
Ground Zeroの目の前にあるCentury 21というデパートへ行く。ここはのー(姉の典子さん)の友達にも「だまされたと思って行ってみて!」と超おすすめされた場所だ。中は、人と商品とであふれかえっている。とにかくなんでもかんでも安いお店だ。まずは紳士服売り場で、麦のシャツを選ぶ。麦は大きいからそんなにサイズには苦労せず、いくつか夏用のシャツを選んだ。婦人服売り場は紳士服売り場よりも広大だ。たくさん洋服買いたい! 気持ちまんまんなのに、こういうところに来ると、なぜかいつも買えない。帰る時に荷物が多くなるのもいやだなぁとかなんだかいろいろ考えてしまって、買う手が鈍るのだ。結局3点だけ買った。でも満足できる内容だったからよかった。今日はこの後、チャイナタウンで昼食を食べて、それからCity Passに入っているクルーズに行こうと思っていたのだけれど、思いの外、Century21で時間をくってしまった。まだ降り止まない雨の中、急ぎ足でチャイナタウンへ向かう。途中から地下鉄に乗ろうと思っていたのに、その路線は休日は運転していなかった。しょうがない、徒歩で向かう。かにみそ入りショーロンポウのおいしいお店というのがガイドブックに載っていたので、その店に行ったけれど、お店の前には並んで待っている人たちがいた。クルーズの時間まであまり余裕もないので、他の店を探すことにする。すぐ近くに、そのお店の姉妹店があって、こっちは驚くほどすいていたので、そちらに入る。かにみそ入りショーロンポウも食べられた。その他に、チャーハンと焼きそばも頼んだら、すごく量が多く、申し訳ないけれど、ずいぶん残してしまった。味は、ちょっと濃いめだけれどおいしかった。予定を変えて、地下鉄で34th St.に行き、エンパイア・ステート・ビルに行くことにする。雨は止んできたものの上空はガスっている。ビルの上に上がる時も、「very foggy」すごく霧がかかっているよと言われる。それでも今日しかのぼる機会はないんだから、エレベーターに乗り込む。確かにfoggy、遠くは何も見えない。下を見下ろすと、タクシーがたくさん走っている。黄色いから目立つのだけれど、ぱっと見ると、タクシーとバスくらいしか見えないくらいだ。一番上の展望台では、こっちは何が見えます、という案内板のようなものがあって、その中に、「こっちにはかつてワールドトレードセンターが見えました」という感じで、点線でWTCが描かれていたのが印象深い。はれている日は数十分待ちというのも当たり前のようだけれど、こんな日はほとんどノンストップでのぼっておりてきた。うひひ、あっという間のできごとだった。
* * *
ほんとうの最後の日、6月4日、朝一でタクシーで空港に向かう。日曜で道がすいていたこともあって、必要以上にとばすタクシー。通常の半分くらいの時間で空港に到着。しかし、あまりのスピードに、乗り物酔いしてしまった。
そのまま13時間のフライト。ほとんどずっと気持ちが悪く、機内食も食べられないありさま。食べられないどころか、食べ物のにおいがするだけでもウゲ〜という感じ。帰りは行きとは違って、座席についているスクリーンがきちんと作動しているのに、十分に映画を楽しむこともできなかった。
久しぶりの海外旅行、と思ったら一昨年の韓国以来だった。しかし、こんにゃく座に入座してはじめて10日間以上の休みをとっての旅行。次旅行に行けるのはいつになるかわからないけれど、こういった気分転換は、とても大切だなぁと思った旅でした。
おしまい
★2006.8.18.
text & photos (C)Nanako Tanoue and
Mugi Doi
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