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☆タクシーがとうとう来たのに

ある町へ、日帰り取材の旅であった。
飛行機が空港に到着すると、タクシーでそのまま、取材先へ連行された。
2時間ぐらい、話を聞き、お開きになった。
相手の部下だという人物がが、もうしばらくするとクルマが来ます、と。
またタクシーで空港に戻るのであろう。
建物の外に出た。
ベンチに座る。
同行者と、当の部下と。
おしゃべりをする。
とりとめのない話が行き交う。
もうすぐクルマが来にちがいない。
それがわかっているからか、話にノリがない。
ところが、タクシーは来ない。
「来ないですね」と部下。
「そうですね」とこちらふたり。
しばらくして、部下が立ち上がる。
「電話してたしかめてみます」と。
屋内に消える。
ふたりになったぼくたちの、やはり気のないおしゃべり。
タクシーが一台停まる。
「あれ、ぼくらのかな」
「そうでしょ」
部下の姿は見えない。
ぼくたちは車内に入り、運転手は無言で走り出す。
部下の姿はどこにもない。
ぼくたちは、黙って空港へ運ばれた。
ぼくは売店で、お菓子をおみやげに買った。
機は間もなく離陸し、数十分飛んで、羽田に着く。
部下に、もういちど会うことは、おそらくない。
★2007.7.2.

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