TRAVEL
2007.7.2.


☆タクシーがとうとう来たのに
space

ある町へ、日帰り取材の旅であった。
飛行機が空港に到着すると、タクシーでそのまま、取材先へ連行された。
2時間ぐらい、話を聞き、お開きになった。
相手の部下だという人物がが、もうしばらくするとクルマが来ます、と。
またタクシーで空港に戻るのであろう。
建物の外に出た。
ベンチに座る。
同行者と、当の部下と。
おしゃべりをする。
とりとめのない話が行き交う。
もうすぐクルマが来にちがいない。
それがわかっているからか、話にノリがない。
ところが、タクシーは来ない。
「来ないですね」と部下。
「そうですね」とこちらふたり。
しばらくして、部下が立ち上がる。
「電話してたしかめてみます」と。
屋内に消える。
ふたりになったぼくたちの、やはり気のないおしゃべり。
タクシーが一台停まる。
「あれ、ぼくらのかな」
「そうでしょ」
部下の姿は見えない。
ぼくたちは車内に入り、運転手は無言で走り出す。
部下の姿はどこにもない。
ぼくたちは、黙って空港へ運ばれた。
ぼくは売店で、お菓子をおみやげに買った。
機は間もなく離陸し、数十分飛んで、羽田に着く。
部下に、もういちど会うことは、おそらくない。
2007.7.2.


この記事のURLを友人・知人に知らせる
HOME自由意志購読フレームを外すBACK