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★ネット上に慈善を集中させる試み
昨年の同時多発テロによって明らかになったことのひとつに、インターネット・メディアの成熟がある。すでに在来のメディアを越えつつあることは、次ぎの例からも明らかであろう。
先ごろ、ITと新しいメディアを代表する三つの企業、AOLタイム・ワーナー、ヤフー、それにシスコ・システムズが共同して、「ネットワーク・フォー・グッド」Network
for Goodと名づける慈善ポータルを立ち上げた。これには、非営利団体20あまりが参加して、運営は、これら団体の代表者によって行われることになっている。
9月11日のテロでは、多数の犠牲者が出た。ニューヨークの世界貿易センターが倒壊した際には、少なくとも3,000人が犠牲になっている。この一大事を受けて、アメリカの慈善活動がいっそう活発になった。これが、家族や救援作業に従事する人々を支援するための大きな力になったことは、よく知られている。
「ネットワーク・フォー・グッド」は、全米に燃え上がる慈善の炎を一点に集中させることで、さらに「火力」を増大させようとする試みである。
このポータルでは、85万以上の慈善組織のサイトにリンクを張るとともに、それらのグループに関する情報を逐一提供する。さらに、オンライン上からの募金をはじめようとする組織にアドバイスをしたり、インターネットとハイテク技術を効率よく使う方法の指導も引き受ける。
一方、一般市民が、たとえば9月11日の事件で亡くなった人の家族に義捐金を送りたいと考えた場合、このポータルを訪ねれば、居住地域のチャリティ組織にダイレクトにつながる。寄付金を送る場合のクレジットカード手数料などは、ポータル側で負担することになっている。
じつは、慈善ポータルの構想は、1年あまり前から実現への準備にかかっていたのだが、「9月11日」で一気に加速し、昨年のクリスマス・シーズンに間に合うように立ち上げられた。
3社のうち、AOLタイム・ワーナーとヤフーがそれぞれのサイトやオフライン・メディアに広告や告知を打ち、シスコは技術的な支援をするという役割分担で、このポータルを支えることになっている。
なお、「ネットワーク・フォー・グッド」の理事長には、シスコが企業として取り組むオンライン慈善事業「eフィランソロピー」の運営を指揮してきたクリス・シントンが、その実績を買われて就任した。
バラバラに散らばっている慈善組織をひとつにまとめると同時に、市民に対して、慈善の現在をわかりやすい形で示すことで、参加を促そうというのが、このポータルの狙いになっている。
集中と分散。これを同時に、しかも圧倒的な規模で実施することによって、パワーを最大限に高めようとする。インターネットの威力が存分に発揮される。その迫力と効率は、たとえば、放送局や新聞社が行ってきた慈善キャンペーンなどとは比べものにならないことがうなづけるであろう。
しかし、この考え方をそのまま追求していけば、アメリカ国内に限定することなく、地球規模に拡大されるのが当然であろう。そうなれば、支援対象に「戦争」の最大の被害者であるアフガニスタン国民も加えられることになる。
素直にインターネットの可能性を追っていけば、そうならざるを得ないのではないか。ネットには、国家の縛りは通用しないのだから。★
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