ベテラン・ジャーナリストのチャーリー・リースが、ウェブ・サイトのアンティウォー・ドット・コム(7月9日)に、ロンドンの爆破事件について書いている。きわめてまっとうな、それなのに、なぜか数少ない議論である。以下に訳出する。なお、リースは、アメリカ陸軍に2年間いて、戦車砲手を務めたという。
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ロンドンの爆破事件後、トニー・ブレアとジョージ・Wブッシュは、例によって例のごとき行動に終始した。文明と全ての文明社会に対する攻撃だと、ふたりは言ったのである。
ひどい話であり、人々を害することはなはだしい。どんな問題でも、解決の第一歩はつねに、その問題を正しく定義づけることである。西側であろうとどこであろうと、文明の破壊を目標とするテロリストなど、世界中どこにもいない。
アメリカ、イギリス、スペインに対するテロ攻撃の動機は、パレスチナ・イスラエル紛争に対する西側の政策、およびイスラム各国に於ける西側軍隊の駐留以外にはない。これらの攻撃のイデオロギー的源となっているアルカイダは、合衆国に対する宣戦を布告するに関して、以前もいまも、きわめて明快であり、限定的である。
敵がだれかを知り、何故敵であるか、その目的は何かを知ることなしには、戦争に勝つことはできない。それらを知ってはじめて、敵と成功裡に戦うための軍事的政治的な力を正しく差し向けられる。
不幸にも、非常に早い段階でブッシュは、規模が曖昧で不明瞭、動機はいたって非合理である、奇妙な敵をつくりだすことに決めたのである。これによって、政府はアルカイダと戦うこととは何の関係もない政策、つまり、イラクに侵入し、北朝鮮とイランを「悪の枢軸」に加え、実際には我々の敵ではないグループを敵のリストに加える政策をフリーハンドで行うことができるようになった。
これによって引き起こされる混乱は、ロンドンの事件のテレビ報道によく表れている。コメンテーターのなかには、モスクワ、マドリード、ロンドンの公共交通機関に対するテロ攻撃をいっしょくたにする者が何人もいた。しかし、モスクワでのテロは、マドリードとも、ロンドンとも、あるいはニューヨークとも関係ない。モスクワは、チェチェンの独立を求めるチェチェン人の反逆者たちと戦っているのである。ロシアに対するチェチェンの攻撃は、イスラエルに対するパレスチナのそれのようなもので、我々に向けられてはいない。あれは、特別な政治的目的が動機になっている。そして、チェチェン人もパレスチナ人も、文明を破壊したいなど少しも望んでいない。つまり、彼らは単に、国家群のなかに、独立国家としての位置を占めたいだけなのである。
多くの人々が指摘しているように、テロリズムは、真の軍事力を持たない人々が採る戦術であるから、テロリズムに対して戦争をすることはできない。それは実在しないからである。世界規模のテロリスト組織は存在しない。
テロリストの戦術が機能するのは、我々が、通信回線の世界に住んでいるからである。10人から12人の人間がいれば、ロンドンで2〜3個の爆弾を爆発させることができ、世界中の電子の目が、それに向けられ、おしゃべりやディスカッションが行われ、ヴィデオ・クリップが映し出されて、この事態は、なにか別のイヴェントに割り込まれるまでつづく。メディアによる注目と、政治家たちのおおげさなレトリックによって、テロリストの攻撃が、実際よりもその重要性を増幅される。
これらの攻撃によるいやがらせが、国力に対して与えるダメージについて言えば、完全に阻止することは実際問題としてできない。だれかが口にしたレトリックから引き起こされる不満のいくつかが集まって、爆弾のひとつふたつが爆発し、人々が撃たれることはありうる。テロリストは、犯罪者と考えるべきで、彼らの行為は通常の犯罪とされるべきである。実際にテロリストを取り扱うのは、通常の警察の仕事とするのが正しい。戦争がそこに含まれることはない。
合衆国がすべきことは、いくつもの国に侵攻し占領することではなくて、イスラム世界に対する外交政策を再検討することである。西側世界とイスラムの間には、もともとからの紛争はなにもない。オサマ・ビンラディンの追随者およびほんとうの信奉者は、ごく少数である。彼の足下を掘り崩すのに最良の方法は、全てのイスラム国家を公正に、尊敬の念をもって扱う政策を進め、追求することである。
我々は現在、それをしていない。イスラエルの利益を増進する方向に、アメリカの政策をねじまげるイスラエル・ロビーの力によって、我々の中東政策は、二重基準、三重基準だらけであり、偽善が臭気を放つ。それ故に、オサマ・ビンラディンにとっては、これほど扱いやすい者もいない。
しかし、一方で、テロリストの攻撃は、主にメディア・イベントであることを忘れないようにしよう。テロリストよりもなお、インフルエンザや事故のほうが恐ろしいのである。
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[2005.7.11.]