★「父ブッシュ」がイラクで思いとどまったこと
父ブッシュ、つまりイラクを攻撃し湾岸戦争を指揮したジョージ・ブッシュが、ホワイトハウスを去ってから 6 年後の 1998 年に、その大統領時代に、国家安全保障担当の補佐官だったブレント・スコウクロフトと共著で、『変貌する世界』という本を書いた。そのくだりに、湾岸戦争の最終局面でサダム・フセインをイラクから排除しようとする可能性について論じたくだりがある。
我々が、サダムの排除に努め、地上戦を戦いイラクの占領へと拡大したとしたら、人的および政治的に計り知れない犠牲を生んだことであろう。サダムの逮捕はまず不可能であった。パナマで我々はノリエガを探し出すことができなかったことをよく知っている。我々は、結局、バグダードを占領し、事実上、イラクを統治せざるをえなくなったであろう。そうなると、国際協力関係はたちまちに崩壊し、アラブは怒って離反し、他の諸国も手を引いたであろう。そうした状況の下では、またも我々の原則に反することになり、実行可能な出口戦術がまったくなかった。
さらに、我々はそれまで、冷戦後の世界に於ける侵略に対処するための方式を確立しようと、自覚的に努めてきていた。イラクに入り込んで占領し、国連の委任の限度を一方的に越えたとしたら、我々が確立を望んでいた、侵略への国際的な対応の先例を無効にしてしまったであろう。我々が侵入の道を採ったとしたら、合衆国は、きびしい憎悪を向けられる土地で、いまなお占領をつづけていることも十分に考えられる。そのようなことになれば、まったく異なった不毛の結末になっていたであろう。
いまホワイトハウスの主である、息子のブッシュは、父親がかつて思いとどまった道を歩みだそうとしているわけである。
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[2003.1.20.]
(2002.11.5.)