★アメリカ大統領の「戦闘宣言」

 去る 2 月 26 日に、ブッシュ大統領は、ワシントンのシンクタンク「アメリカン・エンタプライズ・インスティチュート」(AEI) で、イラク問題について演説した。

 このシンクタンクは、いわばブッシュ政権の頭脳である。その中枢部に、AEI の幹部が少なくとも 20 人は入っている。また、シニア・フェローのリン・チェニー博士は、チェニー副大統領の妻でもある。

 それだけに、大統領はいかにも気持ちよさそうに、イラク侵攻の必要性を論じている。

 演説の最終に近い部分では、「平和への決意」を次のように述べている。

 世界中の人々とリーダーたちが平和への願望を告げるのに、注意深く耳を傾けてきた。我々全てが平和を欲している。平和への脅威は、文明世界の正しい要求が実行されることを求める人々ではなくて、それらの要求を愚弄する者たちによってもたらされる。我々が行動しなければならないとすれば、暴力を旨とする者を抑え、平和の大義を守るためであろう。そして、この行動により、新しい世紀においては、野蛮が斥けられ文明が尊重されるようになることを、ごろつき政府に知らせることになるであろう。(拍手)

 野蛮を斥けるには犠牲が伴う。イラクが武装解除を拒否することで、我々が戦争をせざるをえないならば、我々は、民間人の背後に軍隊を隠している敵、恐るべき兵器を所有し、いかなる犯罪もなしうる敵に相対するであろう。我々の兵士、水兵、航空兵そして海兵隊員が理解しているとおり、危険は現実である。しかし、これらの挑戦を受けてたつ準備がこれほどできている軍隊もかつてなかった。
 
 我々の軍にある人々は、なぜ戦うことを求められているかもよくわかっている。独裁者を前にして後退すれば、かならず未来において更なる犠牲を強いられることを知っている。彼らは、アメリカの大義が正しく、それが、抑圧された者たちへの自由とアメリカ国民のための安全保障という正義にのっとっていることを知っている。私もまた、合衆国に軍服に身を包む男たちそして女たち、彼らが技と名誉と勇気をもって、与えられる全ての任務を完遂するであろうことを信じている。(拍手)

 合衆国軍総司令官が、全軍に対して戦闘開始を告げているも同然である。ここには、大統領の「やる気」が明白に示されている。

 この演説について、保守派の論客ジャスティン・レイモンドーの、短いコメントを記しておこう。

 「デモクラシーは銃口を突きつけて輸出できるものだという馬鹿らしい考え方の同調者たちが、そのために戦い死んでいくわけではないところに、悲劇がある。犠牲を払わされるのは、タンクと言えば、シンク・タンクのなかなんか覗いたこともなく、エイブラムズ・タンク (アメリカ軍の主力戦車) しか知らない GI たちなのである」

[2003.3.3.]


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